ビゼーの歌劇「カルメン」を観劇していると、おそらく10分に1回は誰でも知っているメロディが出てくるのではないか。そのくらいよく知られたこのオペラの中から、第4幕への間奏曲、第1幕でカルメンが歌うハバネラ「恋は野の鳥」、そして第2幕冒頭の「ジプシーの歌」を中心にサクソフォン四重奏に編曲した。それからこのオペラ中、最も重要な「運命の女の動機」も一度だけ登場する。
原曲の「ジプシーの歌」は、カルメンとメルセデス、フラスキータの3人が次第に熱狂しつつジプシー賛歌を歌い、踊る。それをこのサクソフォン四重奏では、少し装飾を華やかに作り上げ、サクソフォンならではのリズム感と迫力を出した。また、ハバネラではほんのちょっぴりタンゴふうな部分もある。
これまでに「カルメン」をモティーフに、フルートとピアノのための「カルメン・ファンタジー」から、オペラふうの作品「もう一つのカルメン」まで多数の作品を作ったが、これはだいぶいちばん最初のもの。1993年8月27日編曲。