文部省唱歌『ふるさと』を元に再作曲した作品です。様々な和声付けの可能性を秘めた美しい旋律を活かした一曲となっています。前半は和声を中心に変奏され、ワルツ風に変わってからはテンポや性格が刻々と変化し、情熱的なクライマックスに到達。序奏へ回帰したのち、一瞬の爽風が吹いて幕を閉じます。様々な趣向の変容を許容してしまうこの旋律の懐の深さは『ふるさと』の名に相応しく、のどかで穏やかなふるさとを思う日もあれば、胸をかき乱すような郷愁の念に駆られることもあるという様々な表情が表現されています。作曲者によって書き上げられた『ふるさと』を彩る様々なハーモニーは、誰もが持つ「それぞれのふるさと」へと繋がっていきます。