クラリネット5重奏の作品が少ないという声を、クラリネット奏者や現場の先生方からよくお聞きします。たしかに、近年、3・4・7・8重奏のレパートリーは増えてきたように思いますが、5・6重奏は需要に対し極めて少ないのが現状です。
今回クラリネットアンサンブルを書く機会に恵まれた事もあり、5重奏の編成で書いてみようと筆を進めました。
現代的な和声をベースに、エコー的効果を取り入れた事で、これまでになかった横の空間が生まれたように感じます。また同音連打による鼓動は、推進力にあふれたエネルギッシュな音楽です。中間部では、ひとつひとつの音をムードたっぷりに表現される事で抒情的な旋律がより活きてくるでしょう。エンディングは半音の反復により、演奏にウネリが生じるためテンポ・リズムがやや甘くなりがちです。音楽を作っていく中で、各奏者がよくコントロールすることを望みます。
一見複雑に思えますが、音楽構造を知り、興味を持って取り組まれる事で、聴衆の方々に分かり易い解釈で演奏を届ける事ができるはずです。
皆さまのレパートリーのひとつとなりましたら、嬉しく思います。