いつもお世話になっている、福岡の希望が丘高校吹奏楽部顧問の楢橋先生から、アンサンブルの選曲で相談を受けた時の事でした。
「クラリネットはバスクラを入れて三人しかいないので、曲がなくて…」
先生のその一言がきっかけとなり、この編成ならではの面白い作品が出来るのではないかと思い、B♭クラリネット2パートにバスクラリネットを加えた三重奏で書かせていただく事になりました。
現代的な手法とアラビア音階を取り入れた、3つの章から成っており、冒頭は、各ソロによる緊張感のある歌、旋律が今後の展開を感じさせます。中間部では、曲の方向性がはっきりと決まる瞬間を表現、また後半部は感情的な部分を音だけでなく足にもその気持ちを込めました。土俗的な舞踊、終盤においては失速することのない真っ直ぐな音楽で、聴く人の心を掴むでしょう。
3人だからこそ出来る、音の動きを感じさせるアンサンブル、そして透明感。新たなクラリネットのレパートリーとして、幅広く使っていただける一曲です。
最後に、この作品を初演してくださった希望が丘高校吹奏楽部の皆さん、そしてご指導してくださったクラリネット奏者の山下愛先生に心より感謝申し上げます。(片岡寛晶)