「雨」と一口に言っても様々な種類がありますが、その中でも冬の夜に降る雨はどこか悲しげな印象をもっているように感じます。冷たいからでしょうか、それとも一瞬のうちに過ぎ去ってしまうからでしょうか。雨はいつだって忘れたころに降ってきて、私の影を色濃く映し出すのです。2018年1月から3月にかけて、たびたび京都に出向き書き進めた作品です。曲中にどこか和風の色合いが感じられるのも、京の冬景色から受けた印象の現れのように感じます。
曲は緩-急-緩という3部形式で構成されています。ゆったりしたテンポの部分は休符の間合いを意識し、急の部分はサクソフォンの機動性を活かし、全体として、一つの短編小説のようなイメージで演奏していただけると幸いです。