ハンガリー出身の著名な作曲家でもあり、民族音楽研究家でもあったベーラ・バルトーク(1881-1945)は、生涯に渡って民族音楽の収集・分析を行いました。エルネ・レンドヴァイ著『バルトークの作曲技法』に代表されるように、「黄金比」「フィボナッチ数列」などの数学的なアプローチから難解な音楽語法を作り上げたバルトークですが、本作は複雑な書法が見られず、ルーマニアの民謡を生かした親しみのある楽曲となっています。
今回は木管のフレキシブル・アンサンブルとして編曲しました。パート数が6〜8パートとなっていて、パート1とパート8は省略可能になっています。今回の編曲で一番意識した点は、パート5〜8を楽器経験の少ない方でも演奏できるようにした点です。楽器経験の差がある団体には最適な編曲になっていると思います。
I. 棒踊り Jocul cu bata
トランシルヴァニア山地の中央部、マロシュ・トルダ県で採譜された舞曲です。旋律を演奏するパートで装飾音が多用されていますので、意識して揃えて下さい。適度にアゴーギクをつけるとより演奏効果があがると思います。
II. 飾り帯の踊り Braul
トロンタール県エグレシュで採取された農民舞踏です。楽譜上にフェルマータの指定がありますが、こちらも適度にアゴーギクをつけると効果的になると思います。
III. 足踏み踊り Pe loc
トロンタール県エグレシュで採取された舞曲です。パート1を省略し、パート2がFl.の場合はPicc.に持ち替えて下さい。Picc.が無い場合はOct.上げてFl.でも可能ですが、吹きにくい音域になってしまいます。パート4,5の伴奏形の掛け合いを意識して下さい。
IV. ブチュム人の踊り Buciumeana
トルダ・アラニョシュ県ピストラで採取された舞曲です。シンコペーションの伴奏形に注意を払って下さい。
V. ルーマニア風ポルカ Poarga romaneasca
ビハール県ベレーニェシュで採取されたポルカです。3+3+2の拍子感とsfを合わせて下さい。17小節〜最後、パート5,6の装飾音符が難しい場合は省略して頂いても構いません。
VI. 速い踊り Maruntelul
ビハール県ベレーニェシュとトルダ・アラニョシュ県ニャーグラで採取された舞曲です。テンポが速く連符が多用されていますので、縦のズレに気をつけて下さい。
Part 2
Flute / Clarinet in E♭
Part 3
Oboe / Clarinet in B♭ / Soprano Saxophone in B♭
Part 4
Clarinet in B♭ / Alto Saxophone in E♭
Part 5
Clarinet in B♭ / Tenor Saxophone in B♭ / Alto Saxophone in E♭
Part 6
Clarinet in B♭ / Tenor Saxophone in B♭ / Alto Clarinet in E♭
Part 7
Bassoon / Bass Clarinet in B♭ / Baritone Saxophone in E♭
Part 8 (option)
Bassoon / Bass Clarinet in B♭ / Baritone Saxophone in E♭