フランツ・レハールはオーストリア=ハンガリー帝国生まれの作曲家で、オーストリアやドイツを中心に活躍し、1905年に作曲した『メリー・ウィドウ』で一躍人気作曲家となりました。その後徐々に作風を転換、従来のオペレッタの喜劇一辺倒を脱しコメディとシリアスを織り交ぜた独自の形を確立していきました。そんなレハールの音楽は、ハンガリーやチェコ、ウィーン、ドイツと、東欧を中心とした国際色豊かな旋律が特徴です。またメロディメーカーとしても恵まれ、甘く夢見るような旋律美は今なお世界中で愛されています。いくつかの作品は今日でもヨーロッパのスタンダード・ナンバーとして残っており、映画音楽として用いられる事もあるほどです。
この作品は、1935年10月13日に初演された以外は詳細が不明とされています。第1楽章はウィンナ・ワルツと呼ばれる序奏とコーダを備え、5つのワルツを組み合わせで構成されています。そして第2楽章は第1楽章ワルツの旋律を用いた行進曲となっています。そんな作品を吹奏楽用に編曲をした小林久仁郎は、第2楽章にあたる部分を1楽章の再現部にはめ込み、単一楽章の作品として再構成していました。演奏機会が皆無であることからレハールの真意を推し量ることはできませんが、ウィンナ・ワルツの王道にレハールのメロディを併せたこの楽曲は、隠れた名曲と言えるでしょう。