ハンガリー・ジプシーの代表的な民俗舞曲として、チャルダッシュの形式は、ブラームスの「ハンガリー舞曲集」やサラサーテの「チゴイネルワイゼン」にも使われている。すなわち、曲頭にゆったりとして情熱的な“ラッサン”と呼ばれる部分が置かれ、続いてテンポの速い主部“フリスカ”が続く2部構成の舞曲である。また、舞踊を起源としているので、主部でのテンポの変化や、ステップに通じる強いシンコペーション・リズムに特徴が見い出される。
モンティ(1868~1922)のこの作品も、舞曲の名称をそのままタイトルに用いているだけあって、典型的なチャルダッシュのスタイルで書かれている。冒頭から19小節間がラッサン、そしてCからがフリスカである。
原曲は、ピアノ伴奏つきのヴァイオリン曲であるが、クラリネット4重奏のためのこの編曲は、単なるトランスレートにとどまらず、様々なパッセージを挿入することで、アンサンブル独特の華やかな効果をねらっている。編成が小さいだけに、無駄な音もないので、各パートは役割りの分担を正確につかみ、すき間のない演奏を目指す必要がある。(森田一浩)